※ボトックス注射に関しましては、現在、準備中です。
ボトックス注射とは
ボトックス注射はボツリヌス毒素という、食中毒の原因菌でもある毒素を無毒化し、筋肉内に注射する治療法です。
ボツリヌス毒素には筋肉の異常な収縮を和らげ、過剰な発汗を抑えるという効果が期待されます。
ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
およそ1980年代から医療で応用が始まり、現在では美容領域などの広い分野で利用されています。
当院では美容医療としてのボトックス注射は行っておりませんが、これから紹介する様々な疾患に対してボトックス注射をご提案させていただいております。
ボトックスが効くメカニズム
ボツリヌス毒素は末梢神経において、アセチルコリンの放出を抑制することで、筋肉を動かすための神経伝達をブロックします。
この作用を介して筋肉の収縮が抑えられ、張りやコリを改善するイメージです。
筋肉を緊張させている神経の働きをおさえる、ボツリヌストキシンというお薬を注射します。
効果や持続期間について
- 肩~手・指、股~足の筋肉が柔らかくなることで関節が動かしやすくなります。
- 拘縮といって、関節が固まることで動きにくくなるのを予防します。
- 関節が動かしやすくなるのでリハビリテーションがしやすくなります。
ボツリヌス療法の効果は、注射後2~3日してから徐々に現れてきます。持続期間は約3か月が目安とされています。その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうため、効果を継続するためにて定期的に注射が必要になります。ただし、治療効果や効果の持続は個人差があります。
ボトックス注射の量(単位数)に
ついて
上肢痙縮は400単位まで、下肢痙縮は300単位まで、上下肢痙縮で同時注射の場合は300単位までです。
当院での適応
- 上肢(腕、手、指)の痙縮
- 下肢(股関節、太もも、足)の痙縮
- 眼瞼けいれん
- 片側顔面けいれん(顔の筋肉がぴくぴくとけいれんする病気)
- 痙性斜頸(首が斜めに曲がってしまう病気)
- 小児脳性まひ患者の下肢痙縮に伴う尖足
痙縮(けいしゅく)について
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、脊髄損傷、頭部外傷、脳性麻痺、多発性硬化症などによる障害で筋肉が過緊張になり手足が動かし、自分の意志とは無関係に勝手に動いてしまう状態のことです。
例えば、手を握ったままとなり開きにくい、ひじが曲がり開きにくい、足先が足の裏側のほうに曲がってしまうなどの症状があります。
当院で行うボトックス注射治療
片側顔面けいれん
片側顔面けいれん片方の口や頬周囲ピクピクけいれんして、自分の意思では止められない(無意識)症状の出る病気です。
原因は脳血管の問題であることがあり脳外科にて評価してもらうことが望ましいです。40歳以上に多く片側に発症すること多いです。
ボトックス注射を受けることで過剰な筋肉のけいれんを抑えて、症状を和らげる効果が期待できます。
副作用として一時的に閉眼しにくくなることがあります。
眼瞼けいれん
眼瞼痙攣は瞼が無意識にけいれんする病気です。
ドライアイや瞼がピクピク動く、瞬きの回数が増える、光を眩しく感じるなどの症状があります。
原因は不明で、40~70歳での発症が多いです。
ボトックス注射で、瞼の緊張を和らげて、無意識に動く瞼の異常を改善します。
ボトックス注射を受けることで過剰な筋肉のけいれんを抑えて、症状を和らげる効果が期待できます。
重症腋窩(えきか)多汗症
腋窩とは腋の下のことです。重症腋窩多汗症とは、腋の下に大量に汗をかいてしまう疾患であり、多くの方が悩みを抱えていることが分かっています。
多くは気温の高くなる夏場に悪化しますが、冬場でも大量の汗をかく場合もあります。
こちらもボトックス注射によって症状が緩和できることが分かっています。
痙性斜頚
痙性斜頸とは、頭や首にかけての運動が、意識しない筋肉の動きによって異常をきたしている状態のことです。別名「頚部ジストニア」とも呼ばれていて、頭部から頚部の運動障害や肩こり、首こりなどの痛みを伴う場合が多くあります。
実は慢性的な首・肩こりの患者様の一部にはこの痙性斜頸が隠れていることがあります。
治療の第一選択はこのボトックス治療であり、薬物療法よりも強く推奨されています。
上肢痙縮・下肢痙縮
脳卒中ガイドライン2021では、上下肢痙縮を軽減し運動障害を改善させるためにボトックス注射を推奨しています。(推奨度A)
脳卒中以外の痙縮でも注射することが可能です。安全で効果的な治療として信頼性が高いです。
ボトックス注射の治療の流れ
1準備
初診の方はまず医師による詳細な診察を受けていただき、ボトックス治療を行って良いか判断させていただきます。
問題ない場合、そのまま診察室内にて注射を行います。
服は注射する箇所だけめくっていただきます。
2ボトックス注射
穿刺部位を消毒し、注射して行きます。
消毒剤にアレルギーをお持ちの方は必ず申し出てください。
注射はおおよそ15分程度で終了します。
3注射完了
ボトックス治療では安静時間を設ける必要がないため、注射完了後はそのまますぐご帰宅いただけます。
ボトックス注射の
注意事項や副作用
注意事項
注射当日は激しい運動は控えてください。
治療を受けたその日に効果が出ることは稀で、多くの場合1週間前後くらいで徐々に筋肉の緩みを自覚していきます。
副作用
しばしば肩の重だるさ、腕の挙げづらさが出る場合があります。日常生活に支障が出る場合にはご相談ください。
また注射という医療行為のため、注射部位の腫れ、痛みなどのリスクもあります。
一時的に筋力低下が起きることがありますが自然回復します。