頭・顔の痛みでお悩みの方へ
頭の痛みは、片側だけ・両側など、痛む場所に個人差があります。また、痛みの強さによっては、吐き気を伴うケースも珍しくありません。頭痛には数多くの原因があるため、対処方法や治療方法が異なるところも特徴です。CTやMRIなどの精密検査を行っても原因が明らかにならない頭痛は、一次性頭痛と呼ばれており、片側頭痛や緊張性頭痛などが挙げられます。
なお、顔の一部がズキズキと痛み、目の奥が痛むなどの状態が続く際には、三叉神経痛の可能性があります。
頭の痛みが生じる主な疾患
当院が診療を行う頭痛や顔面の痛みについて解説します。
頭痛
片頭痛
片頭痛は、頭の片側にズキズキとした脈を打つような痛みが現れます。女性に多く発症すると言われており、頭痛の持続時間は数時間~3日程度と個人差が多いところも特徴の1つです。
片頭痛の原因は、拡張した脳の血管が神経を圧迫し、神経から痛みを感じる物質(発痛物質)が分泌されることで起きるといわれていますが、詳細は判明されていません。なお、「目がちかちかする(閃輝暗点)」「光や音を不快に感じる」「吐き気」「嘔吐」など、日常生活に支障を来す症状が現れることもあり、「緊張やストレス」「疲労」「睡眠不足」などが原因になると考えられています。
具体的な治療方法には、鎮痛剤や漢方薬などの処方が挙げられます。片頭痛の症状が強いケースには、神経の興奮を正常化させる「トリプタン製剤」を使用することもあります。
緊張型頭痛
緊張性頭痛は、最も起こりやすい頭痛とされています。頭全体、もしくは後頭部に痛みや圧迫感などが生じますが、片頭痛のような吐き気を伴うことはありません。長時間同じ姿勢で居続けるデスクワークや運転などを行うと、首から背中にかけての筋肉が緊張するため、血流が悪くなる原因になります。また、緊張性頭痛には、ストレスなどの精神的な要因も関係しています。
効果的な治療には、「生活習慣の改善」「ストレッチ」「運動」などの筋肉の強張りをほぐすことが挙げられます。「鎮痛剤」や筋肉の緊張を緩める「筋弛緩剤」などの内服も効果があり、肩こり解消が緊張性頭痛を改善に導くと言えるかもしれません。
群発頭痛
群発頭痛は、じっとしていられないほどの強い痛みが特徴です。頭痛と同時に、「目の充血」「流涙」「鼻水」などの症状が現れるケースもあります。頭痛は一度起こるとおおよそ15分から数時間続くことがあり、連日続くなど頻回に起こることが大半です。頭痛が数か月続く「群発期」と頭痛の起こらない「緩解期」を半年から2年おきに繰り返します。
治療方法には、「飲酒を控える」ことや「内服薬」での痛みの緩和が挙げられます。頭痛が起きているタイミングでは、「高濃度酸素吸引」が効果的です。難治症例では「ステロイド」を使用し、自律神経を整えるために「星状神経節ブロック」を行う場合もあります。
後頭神経痛
後頭神経痛を発症すると、後頭部に締め付けられるようなキリキリした痛みを感じるようになります。症状は数日から数週間持続し、後頭部と頚部の間を押すと強い痛みが走るところも特徴です。
後頭神経痛の原因には、「頚部・頭部の筋肉や血管の異常」「帯状疱疹」「姿勢の悪さ」などが挙げられます。
顔の痛み生じる主な疾患
三叉神経痛
三叉神経痛とは、脳神経の1つである三叉神経が血管などにぶつかることで、激しい顔面の痛みを引き起こす疾患のことです。
発作的な顔面の痛みを特徴としているため、長時間痛みが続くわけではありません。数秒間の激しい痛みが1日に数回起き、洗顔や食事を摂ることができなくなることから、日常生活に支障をきたします。
帯状疱疹痛
帯状疱疹とは、「ピリピリとした痛み」「赤い水ぶくれ」が生じる疾患です。全身に起こることは稀で、胸や顔など一定の箇所に現れることが多いとされています。ですが、症状が悪化すると、広範囲に水ぶくれが広がり「顔面麻痺」「手の麻痺」を伴うケースもあります。
帯状疱疹の原因は、幼少期に水疱瘡(みずぼうそう)を引き起こした後、脊髄に潜んでいた「水痘帯状疱疹ウイルス」が体力低下した時に活動を再開するためと言われています。
非定型顔面痛
非定型顔面痛は、三叉神経痛と同様に顔面の左右どちらかに痛みが生じます。痛みの起こり方に違いがあり、非定型顔面痛は1日2時間以上の痛みが連日続き、最低でも3ヶ月以上続くところが特徴です。
顔面神経麻痺
顔面神経麻痺は、顔の表情を作る筋肉が麻痺してしまい、顔が動かなくなる疾患です。突然発症する「ベル麻痺」という症状が顔面神経麻痺で一番多く、原因には「単純ヘルペスウイルス」や「水痘帯状疱疹ウイルス」が挙げられます。
主な症状には、「顔の片側が動かせなくなる」「口元から飲み物がこぼれる」などがあり、表情を作った際に顔が歪んで見えるところも特徴の1つです。その他の症状には、「味覚障害」「音に対する過敏」「ドライアイ」があります。
顔面痙攣
顔面麻痺では、「まぶたのピクピクとした違和感」から「顔半分の痙攣」など程度に応じた様々な症状が現れます。なお、両側のまぶたが痙攣すると、目が開かなくなってしまうため生活に支障をきたします。
原因には、顔面神経が血管に圧迫されることとされています。軽症の場合には、「星状神経節ブロック」「ボツリヌス毒素の注射」が効果的です。
また、医師が重症化を認めた際には、脳神経外科での手術対象となります。