腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・坐骨神経痛

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、坐骨神経痛は、いずれも腰に関する病気で、腰の異常から神経圧迫が起こり、足にしびれや痛みといった症状が起こるものです。いずれも似た症状を示すものですが、専門医の診断や検査によってそれぞれの病気を判定します。
当院で最も多い治療の1つと予想され院長が得意とするブロック注射もあります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア腰椎とは、人間の背骨の下のほうにある、5個の椎体(腰の骨)で構成された部分のことを言います。
この椎体同士の間に椎間板があります。椎間板はゼリー状の髄核と、それを取り囲む線維輪と呼ばれる軟骨とによる構造となっており、椎体間にあってクッションの役割を担っています。
しかし加齢などによって線維輪が弾力を失い、亀裂を生じる結果、髄核の一部が外に出てくることがあります。この外に出てきた髄核が神経を圧迫することにより、腰に痛みや足の痛み、しびれが生じます。

原因と症状

椎間板ヘルニアの原因は、椎間板への強い圧力です。椎間板に大きな負担がかかることによって線維輪に亀裂が入り、中の髄核が外に飛び出して神経に当たることで痛みを感じるようになります。
痛みは腰の周りのほか、太もも、膝、足にかけても起こります。背中を伸ばしている時や寝ている時は痛みが和らぎますが、背中を丸めた時や、前かがみになった時は神経が圧迫されて痛みやしびれがひどくなります。

検査と診断

検査と診断症状や診察を行った後、レントゲン検査やMRI検査で診断をします。
ヘルニアの状況を確認するのにはMRI検査が効果的です。MRI検査によってヘルニアの場所や大きさ、神経の圧迫程度が分かります。その他、症状によってはCT検査や造影剤を使用したレントゲン検査を行う場合もあります。

治療

治療椎間板ヘルニアは、数カ月ほどで自然に小さくなりものからならないものまで様々です。
症状が出はじめた頃には、痛み止め薬などの投与を行います。
症状が長く続く時や、痛みやしびれがひどい時は、ブロック注射を行います。
ブロック注射の効果が乏しければ手術療法を検討します。

予防

椎間板ヘルニアの予防には、なるべく中腰の作業や重たい物を持つ作業などを避けることが重要です。また体の柔軟性を高めたり、筋肉を鍛えたりすることによってヘルニアを誘発しにくい身体にすることが必要です。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症脊柱管=背骨にある神経の通り道になっている管=トンネルのことです。
この病気では年齢などを原因として、脊柱管が狭くなり、その中を通る神経が圧迫されることで、痛みやしびれなどの症状を発するようになります。
神経を圧迫するのは変形した骨や、椎間板、靭帯などである場合が多いです。これらのものによって神経が圧迫され、神経への血流を阻害したり、炎症を引き起こしたりします。

原因と症状

主に、加齢などが原因で中年以降に発症することが多いです。
一般的には腰を使う作業や肥満などによる腰椎への負担といったものが考えられます。その他、骨粗しょう症による圧迫骨折や側弯症などによって骨が変形し、神経が圧迫される場合もあります。
症状として、腰痛、太ももや足の痛み・しびれなどを生じます。歩行することで症状が悪化することが特徴的に長距離の歩行が困難になります(=間欠性跛行:かんけつせいはこう)
また、前かがみになることで症状が緩和することも特徴のひとつです。尿が出にくい便秘や歩行すると尿意を感じる症状が出ることもあります。

検査と診断

検査と診断患者様の症状やその経過、診察、レントゲン検査、MRI検査を行って診断します。特に、MRI検査が診断には有効です。ペースメーカー留置している方などMRI検査ができない場合など診断が難しい場合は造影剤を使用した検査をすることもあります。

治療

治療根本的には狭くなった脊柱管(=トンネル)を広げる手術が必要です。つまり、狭くなったトンネルを物理的に広げる工事が必要ということです。しかし、いきなり手術を希望される方はまずいません。
当院では手術治療をしない保存治療として「痛みを抑え込む治療」を行います。
① 飲み薬 ②リハビリ ③コルセット ④ブロック注射が中心となります。
飲み薬やブロック注射で痛みを鎮圧します。リハビリにて腰痛に負担がかからない体つくりをしていきます。コルセットにて腰部を固定し安静にします。(風邪ひいたらマスクするみたいなものです)
ブロック注射は痛みを発している痛みの震源地に直接注射するのでかなり効果的です。
保存治療において‘最後の砦‘として唄っている当院ではブロック注射において誇り高い診療をしております。
しかし、保存治療にも限界があるのは事実です。症状が改善しない場合は最終手段として手術治療を検討します。

予防

腰への負担を減らすよう、なるべく重たい物を持たないようにすることや、長時間のデスクワークなどによる猫背の姿勢を長く続けないこと、ストレッチ運動などを励行して体を柔らかくすることです。

坐骨神経痛

坐骨神経痛足の神経には「大腿神経」と「坐骨神経」の二つがあります。
ここでは、「坐骨神経痛」のお話をしたいと思います。坐骨神経は腰から出て太ももの裏を通過して足へ向かう神経の総称です。坐骨神経の通過点で何かしらのトラブルが生じ痛みやしびれを生じることを「坐骨神経痛」と言います。坐骨神経は、坐骨を通り、お尻の筋肉である「梨状筋:りじょうきん」を通って足にむかう神経の1つです。

腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いについて

正式には、坐骨神経痛は症状でありヘルニアは病名になります。
例えるなら、みなさん「風邪」になると「くしゃみ」をすると思います。
この場合、「風邪=病名」であり「くしゃみ=症状」です。
つまり、「ヘルニア=病名」であり「坐骨神経痛=症状」です。
「風邪」になって「くしゃみ」を生じている。
「ヘルニア」になって「坐骨神経痛」を生じている。
といった解釈です。
もっとかみ砕くと、ヘルニア(=原因=病名)➡坐骨神経痛(=結果=症状)のようなイメージです。

以上から、坐骨神経痛を引き起こしている原因を突き止めるのが医者の仕事になります。
原因としては、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、深臀部症候群など様々な病気があります。

原因と症状

坐骨神経痛の原因として腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、深臀部症候群など様々な病気があります。
これらの疾患によって腰椎に異常が起こり、坐骨神経が圧迫され、腰痛や足などに痛みやしびれを起こします。

検査と診断

検査と診断坐骨神経痛の原因を診断するためにレントゲン検査やMRI検査を行います。

治療

坐骨神経痛の治療として、まずは原因を診断します。その診断した病気に対して治療をしていきます。
つまり腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、深臀部症候群などの治療に準ずることになります。

予防

普段から正しい姿勢を保ち、腰にできるだけ負担をかけないようにしましょう。
また適度な運動や、栄養バランスの良い食事を摂ること、急激に体を捻るような無理な姿勢を取らないように注意しましょう。