骨折しやすくなる骨粗鬆症
骨粗鬆症とは・・・
国内に約1300万人の患者様がおり骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気です。毛髪の代謝と同じで古い骨は溶けてなくなり、また新たな骨を産生するといった骨代謝が行われています。この骨代謝のバランスが悪くなり骨強度が低下することを骨粗しょう症といいます。
骨粗しょう症では、くしゃみやしりもちついたなど軽い転倒や日常の動作で骨折することがあります。骨折により日常生活に支障を来し、場合によっては寝たきりや要介護・支援者になることがあります。
高血圧など生活習慣病と同じだと思ってください。
つまり、「高血圧を放置➡脳梗塞、心筋梗塞を引き起こす」のと同じで「骨粗しょう症を放置➡骨折を引き起こす」ことになります。
骨粗鬆症は症状があまりないため定期的な検査が重要で早期発見・早期治療により骨折のリスクを減らすことができます。
「骨強度=骨密度(70%)+骨質(30%)」といった公式があります。つまり、骨の強度の「70%は密度」と「30%は質」で決まるわけです。骨密度の低下と骨質の劣化が原因で骨粗しょう症になります。
一般的な整形外科では骨密度だけの検査になりますが、当院の特徴として骨質の検査も可能です。
大阪みま整形外科&痛みのクリニックでは、骨粗鬆症の早期発見のために骨密度・質検査(DEXA法) を実施しています。
骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症の主な原因として、①原発性骨粗しょう症と②続発性骨粗しょう症の2つあります。
骨の新陳代謝のバランスが崩れることにあります。骨はプラモデルのような単なる身体の構造物ではなく、体内のカルシウムやリン酸のバランスを保管している保管庫の役割をしています。
体内のカルシウムの約99%は骨に保管されており、残りの1%が血液中に存在します。血液中のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出し血液中のカルシウムを保持します。骨が溶けることで骨密度が低下することになります。他にも、骨が溶けることでコラーゲンやタンパク質の強度が低下することも、骨粗鬆症の一因となります。
①原発性骨粗しょう症
明らかな原因がなく、主に加齢や女性ホルモンの減少により引き起こされるタイプです。
加齢では、カルシウムやビタミンなど代謝のバランスが崩れることが原因となります。
女性ホルモン減少では、閉経後に女性ホルモンが減少し骨の代謝異常が原因となります。
ほかには偏食による栄養障害や遺伝的な要因もあるとされています。
②続発性骨粗しょう症
ある病気や薬により引き起こされるタイプです。
甲状腺異常などのホルモン異常、胃摘除・吸収不良症候群、糖尿病など、ステロイドの内服薬も含まれます。
骨粗しょう症を疑う時
- カルシウム減少により骨がもろくなる
- 背中や腰が痛む
- 背中が曲がっている
- 昔より身長が縮んだ
- 息苦しさ
- 胸焼け
など
検査を受けることが推奨される人
- 65歳以上の女性、70歳以上の男性
- 骨折リスクのある65歳未満の女性、50~70歳の男性
※骨折リスク➡過度の飲酒、喫煙、大腿骨骨折の家族歴 - 骨折の経験がある人(腰椎圧迫骨折、大腿骨骨折、上腕骨骨折、橈骨骨折、肋骨骨折、骨盤骨折など)
- 骨密度が低下する病気にかかっている人
- 関節リウマチ、肝臓・腎臓病、糖尿病、副甲状腺機能亢進症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ステロイド内服中の人など
骨粗鬆症の診断と検査
骨粗鬆症の診断には、以下の方法が用いられます。
問診と身体診察
過去の骨折の経験、治療中の病気や薬の使用状況、生活習慣、閉経の時期などを確認します。
骨密度検査
DXA(デキサ)法、MD法、超音波検査などがあります。当院ではDXA法を中心に評価を行っています。
血液検査・尿検査
骨代謝マーカーや続発性骨粗鬆症の精査、薬の副作用モニタリングなどに使用されます。
血液検査
ビタミンやカルシウムがどれだけ不足しているかなどの検査です。
骨粗しょう症の治療・栄養管理・運動
骨粗鬆症の治療は、食事などの生活習慣の改善と薬物療法の2つが中心となります。これらは加齢による骨の変化に対応しながら行われます。
治療薬は主に以下の二種類に分類されます。
骨吸収を抑える薬
- ビスフォスフォネート製剤:過剰な骨吸収を抑え、骨密度を向上させます
- SERM(選択的エストロゲン受容体調整薬):骨に女性ホルモン様の作用を示します
- 女性ホルモン製剤:更年期症状の軽減と骨粗鬆症治療に用いられます
- カルシトニン製剤:骨吸収を抑えるとともに、鎮痛作用も持ちます
- デノスマブ:骨吸収に関わるタンパク質を抑制し、6ヶ月に1回の皮下注射で使用されます
骨形成を促す薬
- 活性型ビタミンD3製剤:骨形成と骨吸収のバランスを調整し、カルシウムの吸収を高めます
- ビタミンK2製剤:骨形成を促し、骨折予防に効果的です
- テリパラチド(副甲状腺ホルモン):新しい骨を作る骨芽細胞を活性化させます
- カルシウム製剤:食事と合わせてカルシウムの推奨量を補います
骨粗鬆症の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つが中心となります。
薬物療法は主に、①骨が溶けるのを抑える薬と②骨の産生を促す薬の二種類になります。
食事療法
1)カルシウム
推奨摂取量は男性700~800mg、女性650mg/日となります。
カルシウムが豊富な食品として、小松菜、チンゲンサイ、いりごま、牛乳、プロセスチーズ、ヨーグルト、ししゃも、干しエビ、ちりめんじゃこ、焼き豆腐、がんもどき、凍り豆腐などがあります。
2)ビタミンD
推奨摂取量は8.5 µg/日(340IU)となります。魚介類やきのこ類が良い源です。
カルシウムの吸収を補助するビタミンDは紫外線(日光)を浴びることで体内に産生されます。
外出や運動を兼ねて適度な日光浴は重要であるため30分程度でもいいので日光浴をしてみましょう。
3)その他の栄養素
ビタミンK、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、リン、マグネシウムも骨密度の維持に繋がります。
ビタミンKはブロッコリー、小松菜などに、ビタミンB6は赤身魚やレバーなどに含まれます。
食塩、カフェイン、アルコールの過剰摂取は骨密度を低下させるため、適度な摂取が必要です。また、タンパク質は筋肉を増強し転倒を予防する効果があります。
運動療法
骨は、刺激や負荷が加わることで骨をつくる細胞が活性化され丈夫な骨になる傾向にあります。
例えば、 散歩や階段の上り下りなど軽負荷から開始し日常生活の一環として癖づけましょう。
慣れてきたら、骨折予防に有効な運動としてウォーキング、ジョギング、エアロビクス、プールなどやっていきましょう。身体のコンディションにあわせて無理のない範囲で続けることが大切です。
骨粗しょう症の方や腰痛や膝痛など身体に痛みがある方は医師に相談してください。
薬物療法
①骨が溶けるのを抑える薬
1) ビスフォスフォネート製剤(BP剤):骨が溶けるのを抑えます。
・飲み薬➡毎日服用、毎週服用、毎月服用する3タイプ
メリット:3タイプの服用方法がある
デメリット:食後30分は横になっていはいけないなど飲み方に注意があるためめんどくさい。
・静脈注射➡毎月注射
メリット:BP剤の中で一番効果が期待できる
デメリット:BP剤の中で副作用が出やすいかもしれない
2) SERM(選択的エストロゲン受容体調整薬):骨に女性ホルモン様の作用を与えることで閉経前の骨代謝に戻します。
メリット:更年期障害の副作用がほぼなし、安全性も担保
デメリット:更年期障害(ほてり、ムカムカなど)の可能性
3)デノスマブ:骨が溶けるのを抑えます。
皮下注射(6ヶ月に1回の皮下注射で使用されます)
メリット:半年ごとの皮下注射
デメリット:一度始めると基本的に中止できない。中止すると骨が一気に溶けだすリスクあり。
②骨の産生を促す薬
- 活性型ビタミンD3製剤:骨形成と骨吸収のバランスを調整し、カルシウムの吸収を高めます
- ビタミンK2製剤:骨形成を促し、骨折予防に効果的です
- テリパラチド(副甲状腺ホルモン):新しい骨を作る骨芽細胞を活性化させる
骨粗鬆症と栄養
骨粗鬆症の治療においては、適切な栄養素の摂取も重要となります。
カルシウム
推奨摂取量は男性700~800mg、女性650mg/日となります。
カルシウムが豊富な食品として、小松菜、チンゲンサイ、いりごま、牛乳、プロセスチーズ、ヨーグルト、ししゃも、干しエビ、ちりめんじゃこ、焼き豆腐、がんもどき、凍り豆腐などがあります。
ビタミンD
推奨摂取量は8.5 µg/日(340IU)となります。魚介類やきのこ類が良い源です。
カルシウムの吸収を補助するビタミンDは紫外線(日光)を浴びることで体内に産生されます。
外出や運動を兼ねて適度な日光浴は重要であるため30分程度でもいいので日光浴をしてみましょう。
その他の栄養素
ビタミンK、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、リン、マグネシウムも骨密度の維持に繋がります。
ビタミンKはブロッコリー、小松菜などに、ビタミンB6は赤身魚やレバーなどに含まれます。
食塩、カフェイン、アルコールの過剰摂取は骨密度を低下させるため、適度な摂取が必要です。また、タンパク質は筋肉を増強し転倒を予防する効果があります。
骨粗しょう症の予防・栄養管理・運動
骨粗鬆症を予防するためには、日常生活の中で適切な食事と運動を心がけることが重要です。以下に、骨粗鬆症の予防に役立つ食事と運動の方法を紹介します。
食事
栄養バランスの良い食事
適切なエネルギー摂取は、骨粗鬆症を含む生活習慣病の予防にも繋がります。食生活の見直しだけではなく、喫煙やカフェイン、アルコールの過剰摂取を避けることも重要です。
運動
骨に負荷をかける運動
骨は適度な負荷によって強化されます。ジョギング、ダンス、ジャンプ運動などが効果的です。
筋力トレーニング
筋肉を強化することで、骨への衝撃を和らげ、転倒のリスクを減少させます。背筋運動やスクワット、ヒールレイズ(かかと上げ)などがおすすめです。
年齢や体調に合わせた運動
高齢者や体調に不安のある方は、ウォーキングやダイナミックフラミンゴ療法(片足立ち)など軽めの運動が適しています。運動は無理のない範囲で行い、継続することが重要です。
過去に受けた骨密度の結果は
本当に正確なものですか??
そもそも、どこの骨を測定するのですか!?!?
腰と大腿骨(股関節)で測定するのがゴールドスタンダードです。つまり、第1選択です。
橈骨(前腕)、指の骨、踵骨(かかとの骨)の検査は正確性に欠け簡易検査と言われても過言ではありません。簡易検査の医療機器は機器自体の値段が安いため多くの医療機関で導入されています。しかし、残念ながら腰椎や大腿骨で測定ができない場合の第2選択となります。具体的には同部位の手術後、金属が挿入、高度肥満などです。前腕は副甲状腺機能亢進症による骨粗しょう症の場合は有用とされています。
さらに、腰椎と大腿骨による検査と前腕の検査の測定値には乖離があることがあり当てにならないと考えています。適切でかつ高水準の医療を受けるためにも腰と大腿骨による検査を必ず受けてください。