サイレントマニュピレーション

サイレントマニュピレーションとは

サイレントマニュピレーションとは

サイレントマニュピレーションとは、別名は「非観血的関節授動術」のことです。主に五十肩などの「肩関節周囲炎」がさらに進行した「肩関節拘縮」に対して行う治療方法です。五十肩はある時から肩に痛みを感じるようになり、そのうち徐々に肩の動く範囲が制限され、肩が上がらなかったり(バンザイできない)、洋服を着る時に苦労したり、就寝時の寝返り時に痛みを感じたりといった症状が出てきます。
従来の治療方法としては、肩関節への注射やリハビリテーションを行われてきましたが、肩の動く範囲が狭い場合は改善しないことが多いです。
サイレントマニュピレーションとは、肩周囲への麻酔後に医師が肩を愛護的に動かすことで固まった肩の動きを改善させるといった治療方法です。患者様の満足度はかなり高めです。

五十肩・肩関節周囲炎が凍結肩・拘縮肩になる経過

五十肩や肩関節周囲炎は自然経過で治る人もおり、痛みは感じるものの肩の動く範囲には問題ないという患者様もおられます。しかし、長期において痛みや動きに悩む患者様もいらっしゃるのも事実です。
このような場合、初期に肩の筋肉や関節の炎症が出た際に肩関節を動かさないでいると、関節包の癒着が生じ、さらに肩関節の痛みがひどくなり動かすのに痛みを感じるようになる期間が続いてしまいます。これを「凍結肩」と言います。

対象となる症状や疾患は?

対象となる方

五十肩ではなく、拘縮肩の患者様に対して治療を行います。肩関節の動く範囲が狭く、肩が上がらない(バンザイできず)、就寝時の痛みなどがあり保存療法では効果が得られない方が対象です。

対象にならない方

以下の方には適用できません。

  • 骨粗しょう症
  • 高齢(80歳以上)の女性の方
  • 局所麻酔剤にアレルギーのある方
  • 慢性の呼吸器疾患のある方

治療の流れ

1超音波エコー

患者様にベッドに仰向けになっていただきます。
超音波エコーを用いて肩周囲の神経に麻酔をします。

2麻酔

患者様にベッドに仰向けになっていただきます。

3サイレントマニュピレーション
施術

肩周囲の痛みを感じることがなくなったのを確認後、医師が肩関節を愛護的に動かし、縮んだ関節包を広げ、関節の動きを改善します。

4施術完了

麻酔の効き目は数時間で切れます。麻酔が切れた後に痛みが強くならないよう、施術後に肩関節に痛み止めの注射をします。注射後、ご帰宅いただきます。

治療後の注意事項

サイレントマニュピレーションの目的は肩関節を動かしやすくして運動療法に取り組みやすくすることです。施術後はリハビリテーションを継続して行うことが重要です。

術後の痛みはある?

麻酔効果がなくなると痛みがでてくるので痛みがでないように肩関節に注射をします。また、痛み止めの薬も処方します。

サイレントマニュピレーションの費用

サイレントマニュピレーション施術は保険適用の対象です。
費用は通常、3割負担の場合だと約4,800円程度です。

※鎮静剤(眠くなる薬)について

最近では胃カメラ時に眠くなる薬を点滴して眠っている間に胃カメラを行うことが多いですが、サイレントマニュピレーションでも眠くなる薬を点滴することは可能です。